自分が泣いている理由がわからない
妻は数年前から心療内科に通院しています。
通院のきっかけとなったのは、妻が社会人5年目くらいのとき。
仕事(妻は教育関連の仕事をしています)に追われる日々で忙しくしていた妻が、連日、夜寝る前に涙を流すようになったことです。
はじめこそ、父ちゃんが「仕事で忙しくて睡眠時間も少なくて大変だね。毎日仕事に追われて泣きたくもなるよな」となだめて、泣き止んだ妻はそのまま眠りにつくという感じだったんですが。これが毎日続くわけです。そしてこれがどんどんエスカレートしていきます。
最初はシクシク泣いている程度でした。
それが声をあげて泣くようになり。
生まれて間もない赤ちゃんみたいに泣き叫ぶようになり。
しまいには泣きすぎて過呼吸になり、けいれんを起こしたり、ほとんど意識を失うに近いような状態になることもありました。
呼吸が整ったあたりで「なんでそんなに泣いてるの?」と問いかけても「わからない。勝手に涙があふれて止まらない」とこたえるだけの妻。
これはいよいよまずいぞと思った父ちゃんは、「精神科か心療内科で見てもらったほうがいい」と妻に伝えたのです。
妻は断りました。
繁忙期が過ぎれば大丈夫。今は忙しいだけ、病院に行く時間もない、と。
父ちゃんは、普段ほとんど怒ることのない人間です。(妻からは「仙人みたいな人」と言われるくらいです。)
が、このときばかりはさすがに怒りました。
「生まれてからこれまでに理由もわからず涙が出たことあるか?普通、泣くときはなにか理由があるんだよ。自分が泣いてる理由もわからないなんて、どう考えても普通じゃない。ストレスで人は壊れるんだよ。数時間だけでもいいから年休をもらって行ってきなさい。」
妻は黙ってうなずきました。